肩関節脱臼 | 聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院

私は、柔道整復師という国家資格を持っていますので、お医者様の同意のもと、骨折・脱臼の整復および応急処置をすることが出来ます。

トータル約13年間、整骨院に勤務していて、延べ5万人の患者様を施術してきましたが、その中で脱臼の患者様(子供の肘の脱臼も含む)が来られたケースは15件ほどだと記憶しています。

さらにその中でも、私自身は3件の整復しかやったことがありません。

 

普通に考えて、脱臼したら第一選択として病院に行く人がとても多いです。

それは非常に正しい選択です。

私が専門学校の時に、整形外科のお医者様が授業をされている科目がありました。

別の科目で、外科のお医者様もおられました。

そのお2人ともがおっしゃっていたのが、脱臼しても柔道整復師は整復するなということです。

その理由をご説明いたします。

 

本日は、脱臼の中で最も多い肩関節を例に挙げてお話していきます。

そもそも肩関節脱臼というのは、肩の骨が元々ある場所から逸脱した状態のことを言います。

いわゆる外れていると言われる状態です。

肩関節の周りには、筋肉・腱・神経・靭帯・血管・リンパなどがあります。

肩関節が脱臼した時には、その様々な組織が非常に不安定な状態になってしまいます。

その状態で肩関節の脱臼を整復してしまうと、骨の位置が元の状態に戻る時に様々な組織を挟んだり傷つけてしまうことになることがあります。

具体的には、筋肉や腱が挟まれて動かす度に痛みが残ったり、神経が挟まれて手に痺れが残ったり、血管やリンパが挟まれて血行障害が起きてしまったりということが起きてしまいます。

そうなってしまうと、その状態を改善させるためには手術をするしか方法がありませんし、最悪の場合手術をしても症状が改善しないということになってしまいます。

ですから、私たちのような柔道整復師が脱臼の整復をする際は、とても慎重に整復をしなければいけません。

 

病院では麻酔をした状態(痛みがない状態)で、画像を見ながら、様々な組織が挟みこまれるリスクを回避した状態で整復が出来ます。

一方私たち柔道整復師はというと、麻酔も出来ない(とても痛い状態)、画像も見れないという状態で肩関節の内部がどのような状態になっているかは分からないまま整復をしなければいけないという状態になります。

ここまでの話を聞いて、万が一肩関節を脱臼した時に、みなさんはどちらで整復してもらいたいですか?

この話を聞くと、一択になると思います。

万が一の際は、いわゆる後遺症に悩まされることなく、痛みもなく整復してもらえる方を選んでいただければと思います。

 

肩関節脱臼後の脱臼を再発させないことに関しては、施術とトレーニング指導などでお力になれると思いますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。